ETS手術は悪なのか?実際に受けた私が多汗症の手術について考えてみた

私はレベル2の手のひら多汗症だったのですが、今から10年前にETS手術を受けています。

その後、高い可能性で発症するといわれる、手術の副作用である代償性発汗を例に漏れず発症してしまっているのですが、これがなかなかやっかいな副作用でして、未だ有効な対策や治療方法が確立されていないようです。

そのため、何か良い方法はないものかとインターネットで検索する日々を送っているのですが、その中でよく「ETS手術は何があっても受けるべきではない」だったり、「ETS手術を安易に行った医師を一生許さない」だったり、それはそれは痛烈な言葉をよく目にします。

これは主にETS手術の経験者の方々の言葉であり、やはり皆、私と同様にひどい代償性発汗に悩まされているようです。

それほどまでに辛いんですよね、代償性発汗というものは。

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ETS被害者という言葉

ネットで色々と調べている中で、「ETS被害者」という言葉をよく目にします。

そういった方々が集まった「ETS被害者の会」という団体もいくつかあるようですね。

私も同じ代償性発汗持ちでありながら、恥ずかしながら最近になってその存在を知りました。

そういったサイトを見てみると、「医師から代償性発汗に関する説明がなく、ETS手術を勧められるがままに受けてしまった。そのせいでその後の生活が正常に送れないほどに異常な汗を全身にかくようになった。元の体に戻して欲しい。」という訴えが目立ちます。

上の記事でも書きましたが、私が10年前にETS手術を受ける際に、担当の医者から受けた説明も淡白なものでした。

確かに副作用がこんなにも辛いものだなんて想像もしていなかったし、その辛い症状を治療もしくは緩和させる方法が確立されていないだなんて、当時の私は思ってもいませんでした。

手術前にその事を知っていれば、手術を受ける受けないは別にして、もっとたくさん考えることができたでしょうね。

そして、たくさん考えたうえで自分で決断してから手術を受けていれば、ETS被害者の方も今の自分も、ETS手術について一切の悪い感情は抱いていないと思います。

今はスマホで欲しい情報がすぐに手に入る情報社会なので、もしETS手術を検討している段階だとしたら「ETS 副作用」とか、「代償性発汗 どれぐらいきつい」とか、ネットでたくさん調べてから手術を受けるかどうかを判断すると思うのですが、私が手術を受けた10年前は、そこまで欲しい情報がすぐに手に入るような世の中ではなかったんです。

そのため、ETS被害者の会の方々が仰っていることがよく分かります。

もしかすると、医師からしたら「ETS手術をすると、代わりに体(主に胸、背中、もも等)からの汗が増えることが多いです。」程度のことだけ伝えただけで、「副作用の説明をした」というふうに解釈しているのかもしれません。

しかし、こんなにも辛い代償性発汗を発症してしまっている患者側からすれば、そんな簡単な説明だけで「副作用の説明をした」とされてしまっては、たまったものではありません。

もっと詳しく、もっと親身に、もっと他にも説明することがあったんじゃないのか!?

そう思うわけです。

多汗症治療のためにETS手術を受け、その後当然のように発症した代償性発汗があまりに辛いという理由から、自ら命を絶った方も数人いらっしゃるようですし、そういった事例も事前のカウンセリングで話すことはできたんじゃないでしょうか?

まぁ、説明する義務でもなければそんな話はしないんでしょうね、きっと。

健常な方からすると、「自分の病気のことなのに、なぜ手術を受ける前にもっと調べなかった?」とか、「副作用があると簡単にでも聞いていながら、なぜ受けた?」とか言われそうですが、そもそも長年多汗症でともて辛い思いをしていて、藁をも掴む思いで病院へ行っているのですから、そこで医師から「副作用の可能性はありますが、多汗症の汗は止まります。」なんて甘い言葉をささやかれたら、専門的な知識を持ち合わせているわけがない一般市民の多汗症患者は、僅かな希望(多汗症も治って代償性発汗もない)に向かって迷うことなく手術を受けてしまうのではないでしょうか。

実際に私がそんな感じでした。

代償性発汗(副作用・後遺症)について一切の説明をしないまま手術を行う医師は一般的に考えるといないと思うのですが、患者が知るべき情報を全て余すことなく伝えてから患者に手術を受けるかどうかの判断を委ね、そのうえでETSを行う医師も少ないんじゃないでしょうか?

少し話は反れますが、以前まで一流の野球プレーヤーであるイチロー選手の社会性やコミュニケーション能力について「何かおかしいのではないか?」と話題になることがありました。孤独を好み周囲と馴染まなかったり、マスコミに対してぶっきらぼうな態度をとることからそう言われていたのですが、私からすると、イチロー選手は野球に対して全ての能力を注いでいるのだから、社会性やコミュニケーション能力が多少個性的であったとしても、何ら不思議ではないと思うんですよね。

ここで話を戻すのですが、小さい頃から医者になるためにひたすら勉強に打ち込んだ人たちは、医者になるために必要なスキルに対して持てる能力を全て注ぎこむせいで、もしかすると社会性やコミュニケーション能力が未熟なまま先生と呼ばれる偉い存在になってしまい、その結果として「自分で理解していることを人に上手に説明できない」まま患者に治療の説明をしていたり、「これは一般人に説明しても理解できないだろうから省いておこう」みたいな感じのカウンセリングをついしてしまう、そんな事がないとも言えないと思います。

そうすると、実はETS手術はうまくいっていて、代償性発汗も最低限に抑えられているにも関わらず、少しでも副作用が発症した患者側からしたら「説明がなかった」となるのでしょう。

そうして「ETSの被害者」が生まれているのかもしれませんね。

ETS手術は金儲けのため?

これもよく目にします。

ETS手術は1996年に健康保険適用になり、それに合わせて治療が可能な病院も増えました。

手術は内視鏡を使用し、皮膚につけた小さな傷からカメラのついた細い管を入れて患部を見ながら、異常な発汗を促す神経を切ったり焼いたりするのですが、元々高度な技術を持ったお医者さん達は、「なんだ、これなら自分にもできるじゃないか」と、腕はあるがそれまで多汗症治療に全く携わっていなかった多くの医師達が多汗症を治療することになります。

そうすると、「内視鏡を用いて神経を切る」という部分だけはうまくいくのですが、その前後(術前のカウンセリングと術後のケア)は元々専門外の医者には上手に行えません。

病院はボランティアではないので利益を求めます。

そのため、通常の企業や商売のように、出来ることにはなるべく手をつけて稼いでいく必要があるのですが、これは何も悪いことではありません。

ただ、多汗症に対して深い知識がなく、単に神経を切ることだけが上手な医師(病院)が「多汗症の治療(ETS)が出来ます」と言うことに問題があるように思います。

神経を切るだけでなく、事前のカウンセリングから術後のケアまで出来る技術と設備を備えてはじめて「多汗症の治療ができる状態」なのではないでしょうか?

そういった部分が、ETS被害者の方から「金儲けのためにETS手術を行っている」と言われる所以ではないだろうかと思います。

実際に、ETS手術後の代償性発汗についてケアができている病院はほとんどないようですし、術後の患者のケアもできない病院が多かったせいか、今ではETS治療自体を辞めてしまった病院もたくさんあるようですね。

私が思うETS手術の善し悪し

私は手のひら多汗症の治療でETS手術を受けてから今日までの10年間、ひどい代償性発汗に悩まされています。

しかし、一概に「ETS手術を受けなければ良かった」とは思っておりません。

上の記事でも書きましたが、代償性発汗は気温が25度を超えることに反応して始まる温度依存の発汗なので、1年の半分程度の暑い時期はとても症状が重く、それこそ「ETS手術を受けたことを死ぬほど後悔する」のですが、逆に1年の半分程度の涼しい期間は、手のひらはもちろん体中がサラサラしていてとても快適に過ごせるおかげで、「ETS手術を受けて良かったのかもしれない」と思うのです。

一年の半分は死ぬほど辛いのですが、一年の半分は幸せな毎日が送れます。

それはここ10年間毎年繰り返し、その度に気持ちの激しい浮き沈みがあるのですが、それで精神的にまいって日常生活が送れなくなったり、鬱になったりすることはありませんでした。

そのため術後10年が経った今でも「ETS手術を受けて良かったのか?」、「ETS手術は受けるべきではなかったのか?」の答えは出ておりません。

よって私の考えとしては、ETS手術は善くもあり、悪くもあるということ。

きっと世の中にはETS手術を受け、気になる汗は止まったし運よく代償性発汗も発症しなかった、そんな幸せな人がいくらかいると思います。

しかし、そういった人達の声はなかなか発信されないものです。

逆に、病院にも医者にも恵まれず、術後の症状にも恵まれなかった人は、やはり声を大にする必要がありますし、そうすると「ETSは悪だ」という情報が広がるのかもしれません。

まとめ

現在多汗症に悩んでいて、これから受ける治療のひとつとしてETS手術を検討している人は、随分前に手術を受けた私からしたら、とても恵まれていると思います。

今は欲しい情報が簡単に手に入る世の中です。

ETS手術について、善い面(多汗症でかく汗が止まる)と悪い面(主に代償性発汗)の両方の正確な情報を、出来る限りたくさん調べてみてください。

それと今はSNSが盛んなので、もしETSの経験者であることを公表している方がいたら、色々と相談してみるのもいいかもしれません。

お医者さんだって人間です。

もしかすると、担当の医師が人見知りで上手に人(患者)と話すことができないかもしれませんし、ETSについての正確な知識を持ち合わせていないかもしれません。

自分で納得のいくまで調べてみて、そのうえで手術を受けるかどうかを決めましょう。

そうすれば、もし手術を受けることを選択して、術後に代償性発汗が発症してとしても、私のように「ETS手術を受けて良かったのか」と、10年間もウダウダと考えることはしなくてすむはずです。

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